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スペシャル対談

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ネットワーク『地球村』代表 高木善之と各業界の著名人との対談。
この対談から「世界を変えていくプロジェクト」が生まれています。

2006年のスペシャル対談

2006年9月号 スペシャル対談 東新住建(株)代表取締役社長 深川堅治 × ネットワーク『地球村』代表 高木善之



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愛知県に本社を置く東新住建株式会社は、庭・駐車場付きの賃貸テラスハウス『ザ・借家』の販売で、爆発的ヒットを記録したハウジングメーカー。循環型農業との出会いから、富士山の裾野に、みんなが協力して暮らせる共同体を作るプロジェクトを立ち上げました。

「知る」と「分かる」は違う



高木こんにちは。まずは、出会いからお伺いさせてください。



深川昨年、当社の幹部会で講演をしていただいたのが最初です。高木先生のお名前が挙がり、人事に聞くと「ショックもあり、感動もあります」というので、「じゃあ、お願いしよう」ということになりました。



高木講師の選定は、どんなことがポイントですか。



深川いわば勘なのですが、惹きつけられました。その勘が間違っていなかったことは、すぐに分かりました。高木先生のお話を聞くと、一切壁がないというか、すーっと入ってくるんです。これはすばらしいご縁をいただいたなと思いました。



高木光栄です。説得しない、主義主張しない、事実を話す、という私の話し方が、そうさせるのだと思います。



深川永平寺には、道元禅師の「知ると分かるは違う」という言葉が貼ってあるんですよ。環境の問題も、「知ってる、知ってる」といいながら、本当に分かっている人は少ないのではないでしょうか。高木先生のお話は、そこを腹に落とさせるように、意識してお話しされているのだなと感じました。



高木そうです。「知る」と「分かる」は、「知識」と「知恵」の違いでもあるんです。「わかる」というのは「分かる」と書くでしょう。「わかる」というのは、過去の自分と、今後の自分を、分かつものなのです。本当に「分かる」と過去の自分には戻れないのです。「分かる」というのは、「変わる」ことなんです。「分かった、分かった、でもねぇ…」というのは、実は分かっていないことなのです。



深川私たちの仕事の面でも、知っているだけの人は成果が出ません。分かろうとする人は成果につながるようです。



高木「環境の大切さは分かるけど、現実問題はね…」という言葉をよく聞きますが、「自分は何が分かっているのか」「現実問題とは何か」を、もう一度考えてみていただきたいですね。多くの場合、現実問題とは「目先のマネーゲーム」のことです。そんな、目先のマネーゲームのために、地球や世界、子どもたちの未来を破壊していることを、謙虚に考えてもらいたいのです。地球温暖化も、オゾン層破壊も、森林破壊も、大気汚染、海洋汚染、資源の枯渇など重大な問題のほとんどは、せいぜいこの100年間の話なのです。それ以前に、私たちの先祖は、クレーンも、ブルドーザもなしに、ピラミッドも、江戸城も、巨大な大聖堂も作ったのです。現代は、同じものを造るために、1万倍のエネルギー(CO2)を放出しているのです。1万倍のエネルギーを消費する現代の先端技術と、昔から使ってきた伝統的技術(ころ、てこ、滑車、つるべ)、どちらがすぐれているか明らかではないでしょうか。



深川確かにそうですね。技術を発展させると、そこにストレスが生まれてきます。技術の進歩によって、人と人とのコミュニケーションも、かなり失われたと思います。


循環=継続、そこを理念に



深川うちのOBで、田舎暮らしをしている人がいます。長野県のある村の募集で、小さな小屋を借りて、都会と田舎の二重生活をしているのです。その小屋を借りるには、論文を書いて、面接テストがあります。村人たちと生活していける人でなければ借りることができません。その募集にはかなりの応募があり、合格するのは非常に難しいそうです。逆に別荘というのは、あまり人気がないのだそうです。結局、別荘というのは周りとのコミュニケーションがありませんからね。地元の方と一緒に農作物を作ったり、料理を教えてもらったり、そういうコミュニケーションがあるから、人気があるんです。今の団塊世代が引退していくとき、本当に欲しいのは、人と人とのコミュニケーションだと思います。



高木そうですね。ここは名古屋のど真ん中で、高層ビルが立ち並んでいます。畑がない、川がない、広場がない、引退した人たちが活躍できる場がありませんね。



深川我々住宅会社は、そういうものを提供する使命もあると思うんです。引退された方が、明るく楽しく、今までの経験や技術を生かして、若い人と一緒になって生活していく場、共同体が必要ではないかと思い、今、若い人にプランを考えさせているんですよ。年配者もいる、若者もいる、子どももいる、そんな昔ながらの共同体的な村を作りたいんです。



高木いいですね ! 私は、そういうことが大好きです ! 『地球村』の仲間にも、畑があって、孫たちが遊べる自給自足のモデルになる村を、滋賀に作ろうとしている建築家がいますので、一度ご紹介しましょう。



深川よろしくお願いします。岐阜県の山中で、75歳くらいの方が「百姓学校」というのを開校されていまして、うちの社員を10人くらい百姓の勉強に行かせているんです。私がそのおじいさんの農業のやり方に惹かれましてね。おじいさんは「百姓というのは、1日3時間の労働でいい」と言うのです。「朝から晩まで働かなくちゃいけない百姓は、エアコンやトラクターを買うためにやっているんだ」と。おじいさんのやり方は、まさに循環型の農業なんです。「人間が作物を作るんじゃない。土が作るんだ。土が肥えればいい作物ができる。草は取らなくていい。共存させればいい」ということなのです。作物を植える時期を調整することで、草取りをしなくてもすくすく育つんです。稲刈りが終わると、草を牛に食べさせる。その糞尿は肥料になる。そして作物が育つ。化学肥料や農薬は一切使いません。これは凄いなと思いまして、私も時々参加して、おじいさんからいろいろ教えてもらい、農業と牧畜が一体じゃないと循環しないんだとわかりました。



高木その通りですね。その方がおっしゃるように、牧畜と農業は一体のものであって、それを切り離すから、糞尿が問題になったり、化学肥料が必要になったりするんです。



深川実はそれを知らなかったんですよ。「百姓学校」へ行って初めて気付いたんです。その循環型農業の考え方を、我々のビジネスにも生かせないだろうかと気付き、会社の理念を考え直さなくちゃいかんと、1年間かけて取り組みました。



高木いつ頃のことですか。



深川3年くらい前ですね。創業時の経営理念を考え直そうと思ったのです。循環が継続の第一条件だとわかったのです。たとえお金があっても循環していないものは、継続できないのです。



高木理念は、どう変えたのですか。



深川「住まいを通じて社会に奉仕する」から、「ほしいものを作ります」に変えました。「心底欲しいものは何だろう」と考え、本当にお客様が欲しいものをサービスしていくことが、企業を存続させるのではないかとたどり着いたのです。そこで理念を変えました。



高木なるほど。シンプルで明確な理念ですね。深川 うちには、循環型商品「ザ・借家」があります。アパートでもマンションでもなく、昔の長屋文化から発想した商品で、一戸建てを横につないで、上下ではなく横の関係でコミュニケーションが取れるようにしたんです。



高木ほお、おもしろいですね !長屋もそうですが、江戸文化そのものが、循環型社会でした。ロウソクのロウや、燃えかすの灰、セトモノの破片、布の切れ端、全てが売り物として循環していたんです。当時、世界でも50万人規模の都市は、3~4カ所でしたが、ベルサイユ宮殿にすらトイレがなく非常に汚かったんです。江戸時代に日本を訪れた外国人が一番驚いたのは、これほどの大都会でありながら、糞尿の臭いがしないこと、ペストやコレラ・チフスなどの伝染病が流行ったことがないこと、隅田川が非常に澄んでいて、しらすなど清流に棲む魚が泳いでいたことだそうです。21世紀が目指している完全循環型社会が、300年前にすでにあったんです。



深川すばらしいことですね。「ザ゙・借家」も予想した以上に人気が出ました。基本的に4戸の長屋ですが、そういう長屋に入りたいというニーズもかなりあるようで、部屋も口コミですぐに満室になるという状況です。



高木高齢化、子育てなど、長屋は今後、非常に有望です。



深川そうなんです。介護の問題が起きたときも、そういう共同体であれば、協力し合えますから。


富士山に共同体を作ろう



高木創業30年でしたね。環境と循環という観点で理念を見直し、ISO14001も取得されましたね。そういう方向性は、何かきっかけがあったのですか。



深川最初は、1990年にシックハウスという言葉が出てきたことです。高気密・高断熱の住宅で、化学物質が家の中に充満したんですね。環境ホルモンが体内に蓄積して、倒れる人が現れたんです。「住宅が病気の引き金になるなんて、これはいかん」ということが環境への取り組みを始めたきっかけです。安全な国産建材を探して回るうちに、林業だけではなく、農業が抱えている問題にも気がつきました。健康や安全は、すべてが関わっていることなのだと分かり、そこからスタートして、家作りの考え方を根本から変えていきました。



高木なるほど、そうでしたか。では最後に、『地球村』と関わりができてから、会社として、個人として、変化は起きていますか。



深川高木さんのお話を伺ってから、変化はたくさんあります。私個人としましては、真っ先に自転車を買いましてね、いつも車に積んであり、自転車を生活の一部にしています。会社では、富士山の裾野に土地を買いました。新しい生活の場所というか、コミュニケーションの場というか、一種の村を作ろうとしているんです。



高木まさに、それは『地球村』ですね。



深川はい、『地球村』を作りたいですね。これから2007年問題(団塊世代の一斉退職)もありますし、年長者にも、若者にも、みんなに活躍してもらえる場にしたいですね。



高木富士山とは素敵ですね。場所は大切ですよ。教えようとか指導しようとか思わなくても、人間のDNAの中には、そんなに『 エゴ 』はないんです。自然の中で協力し合って暮らせる場所があれば、もともと、自分の中にある『 エコ』が目を覚まします。そこは、どのくらいの面積なんですか。



深川1万5000坪くらい、5ヘクタールですね。近くに温泉もありますし、御殿場ですから関東からも非常に近いです。



高木それは楽しみです。前回の講演では、環境の話をメインにさせていただきましたが、次は「生き方」の話、コミュニケーションやコーチングなど、お伝えしたいことがたくさんあります。ストップ・ザ・温暖化キャンペーンやマイ箸運動など、協力していただきたいこともたくさんあります。



深川マイ箸、注文させていただきます。私どもは、木を扱う業種ですから、この問題には全社を挙げて協力します。



高木ありがとうございます。御社の理念「欲しいものを作ります」は、さらに踏み込んで、欲しいものだけではなく、「こういうものがいいのではありませんか」と、新しいエコのコンセプトを提案していくことが大切になってくるでしょうね。



深川そうですね。そういった意味では、『地球村』に賛同させていただいたことで方向性がより明確になったと思います。



高木『地球村』のコンセプトは、みんなの幸せの実現です。未来の全ての人達の幸せを願っています。どうぞ、よろしく。



深川よろしくお願いいたします。



高木今日はありがとうございました。またお会いしましょう。



■東新住建 HPhttp://www.toshinjyuken.co.jp/