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2010年3月号 半農半X研究所代表 塩見直紀さん

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shiomi-taidan.jpg 塩見さんは、33歳で故郷の京都府綾部市へUターン。永続可能で小さな農的生活をベースに、自らの「エックス(天職・ミッション)」を見つけて全うしていく生き方を、「半農半X」と名づけて発信しています。この生き方は国内のみならず海外でも紹介され、多くの共感を呼んでいます。


■ 半農半Xの生き方を伝えよう

高木:こんにちは。この頃、あちこちで半農半Xという言葉を聞きます。素敵な考え方だなあ、と共感しています。ところで、塩見さんは『地球村』のことをご存知ですか。

塩見:実は、高木さんの講演をずいぶん昔からお聞きしています。最初は91年くらいでしょうか。喫茶店で少人数でお話を伺うことができた時代です。ですから今回、対談のお話をいただいてとてもうれしく思っています。

高木:そうでしたか。何だか見覚えがあるなあと思っていました。当時は何をされていたんですか。

塩見:フェリシモというカタログ通販の会社に勤めていました。エコロジーをかなり意識している会社で、ユニークな人材が揃っていました。私はそこで初めて環境問題と自己探求とを考えるようになったんです。5年くらい、いろいろな方の本を読んだり講演を聴きに行ったりして、考え方を学ばせていただきました。そうした中、現在グリーンピースジャパンの事務局長で作家の星川淳さんのご本で、「半農半著」という言葉に出会いました。それを参考にして、いろいろ考えて「半農半X」という言葉が生まれました。私の使命は、この「半農半X」を実践し、伝えることではないかと思うようになって、96年から故郷の綾部市で小さな農を始めました。

高木:会社を辞めて?

塩見:いえ、綾部から京都市内に通勤していました。33歳のときに、人生の締め切りが近づいてきたので、99年に思い切って辞表を出しました。

高木:人生の締め切りって?

塩見:33歳が自分のターニングポイントだと決めていたんです。28歳のときに、内村鑑三さんの『後世への最大遺物』という本を読みまして、我々は後世に何を遺していくのか、お金か、事業か、思想かといった内容に大変影響を受けました。その講演を内村鑑三さんが何歳で行ったのかを調べたら33歳なんです。それで私も33歳になったら人生を再出発しようと決めていました。

高木:えっ ! 私も、交通事故にあって人生が大転換したのは33歳でした !

塩見:そうでしたか ! 実はキリストも、33歳がターニングポイントなんですよね。


■ 広がり始めた半農半X

高木:ではその後のご活躍を教えてください。

塩見:2000年に「半農半X研究所」を設立しました。同年に、廃校になった小学校の跡地利用としてグリーンツーリズムを行う「里山ねっと・あやべ」というNPOができて、そこのスタッフを始めました。

高木:それはあなたが立ち上げたNPOですか。

塩見:私は発足時からのスタッフですが、公設民営という形で綾部市の声かけで始まりました。

高木「半農半X」という言葉が世に出たのはいつ頃ですか。

塩見:友人の間では95年から話してきましたが、活字になってメディアに載ったのは98年です。宝島社の「田舎暮らしの本」で紹介されました。その後、農文協の「青年帰農」にも載って、2003年にソニー・マガジンズから『半農半Xという生き方』を出版させてもらいました。本を読まれた方が、綾部を訪れたり、会社を辞めてしまったり、自分のXを探し始めたりと、変化が起きました。2006年には中国語による台湾版が出て、2009年には海外で初めて講演をさせていただきました。

高木:そうでしたか。それはすばらしい。

塩見:枝廣淳子さんが半農半Xレポートを翻訳して紹介くださったので、英語圏にも少しずつ広がっています。2007年には『綾部発 半農半Xな人生の歩き方88』という本も出させていただいて、綾部で半農半Xを実践されている方々を88人紹介しました。いえ本当は、88人目はあなたの席ですということで空けてあるんですが、この本は、綾部に来られた人の「心のお土産」にしてほしいということで、観光センターや駅でも販売してもらっています。

高木:行政とも上手に協働しているようだから、倉本先生の富良野のように、半農半Xは綾部の財産になるかもしれないね。「綾部に行くと永続可能な生き方がわかる」っていわれるようになるかも。

塩見:そうなれたらうれしいです。


■ 2つの自給力を上げよう

高木:それでは、これからの夢や方向性を話してください。

塩見:これからは、センス・オブ・ワンダーといいますか、感受性や感性が重要になっていくと思うんです。詩人的な感性を持った日本人が増えていく必要があると思っていまして、その分野での出版を考えています。あとは、綾部に「半農半X」に特化した出版社があってもいいんじゃないかとも考えています。自分の役割(エックス)は何なのかと自己探求をして自分の才能を生かしながら周りを幸せにする人、特にそういう若者が一人でも増えていけばと願っています。「半農半X」で食べていける人も何とか増やしたいと思っています。

高木:綾部にも出版会社はあるでしょう ?

塩見:印刷会社はたくさんありますが、出版社はないんです。沖縄には、観光とか平和とか食とか専門分野に特化した小さな出版社がいっぱいあって、それで食べていけているという話を聞いて、綾部にも出版社が一つくらいほしいと思っています。

高木:こういう本を出したいという企画力があれば、小さな印刷会社が出版社になることも可能だし、成り立ちますよ。必要ならアドバイスします。

塩見:ありがとうございます。よろしくお願いします。

高木:最後に読者の方へメッセージをどうぞ。

塩見:みなさんには「2つの自給力を上げましょう」と言いたいです。家庭菜園でも市民農園でもいいので、まずファーストステップとして種をまいて食料の自給力を上げましょう。そして自分の夢を持ち、自分で夢を叶える自給力を上げましょう。この2つの力が、日本人から失われてきている恐さを感じます。機会があれば、ぜひ綾部にもいらしてください。

高木:ありがとう。これからもご活躍を。


■塩見直紀ホームページ
 http://www.towanoe.jp/xseed/

■「半農半Xという生き方」ブログ
 http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission/

■里山ねっと・あやべ
 http://www.satoyama.gr.jp/


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