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沖縄訪問記 ~米軍基地問題と平和への祈り~

2012年05月02日


沖縄では、現代人の多くが忘れてしまった自然と調和した豊かな暮らしや伝統文化が今も息づいています。一方で、島のいたる所を占領する米軍基地によって、60年以上前に締結された日米安全保障条約の意味や、アメリカに対する日本の立場が見てとれます。今回は、沖縄の基地問題の現実とその構造を通して、日本の姿を見つめます。

(事務局・高崎 渉)

沖縄には多くの観光名所がありますが、その多くは人工物ではなく、大自然の神秘を感じられる場所ばかりです。
また、その豊かな自然に魅力を感じた幅広い世代が移住しており、エコビレッジや宿泊施設の運営などを通して、自然との調和を大切にした暮らしを提案しています。

米軍基地、小さな島の大問題

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日本の0.6%の面積しかない沖縄に、日本国内の74%の米軍基地が集中しており、米軍基地を色分けした沖縄の地図(右参照)を見るとその多さに驚かされます。
この状況は、太平洋戦争の際に米軍が上陸して住人の土地を占領して以来続いており、軍用機による騒音や基地建設による環境破壊、判明しているだけで年間100~150件と言われる米軍兵士による犯罪など、様々な社会問題が引き起こされています。
また、犯罪を犯した米軍兵士は、安保条約によって作られた「日米地位協定」により、ほとんど日本の法律で裁かれることはないのです。

現在、日米両政府によって普天間基地の返還が話し合われていますが、その裏側では、普天間返還の交換条件となる密約(SACO合意)が交わされていました。
それにより、ジュゴンの海である沖縄中部の辺野古(へのこ)を埋め立てての基地新設や、希少生物の宝庫として知られる北部原生林「やんばるの森」を切り開いての高江(たかえ)のヘリパッド増設が進められています。

米軍基地問題と原発問題の類似性

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米軍によるアフガニスタンやイラクの侵略にも在日米軍基地が使われました。

多くの日本人が基地問題に無関心だったために、平和憲法を持つ日本が戦争に加担してしまったと言えます。

同様に、多くの日本国民が原発に無関心だったことが、今回の福島第一原発事故が起きた一因だと言えます。

原発事故の苦い経験から私たちが学ぶべきことは、問題を一部の地域だけに押し付けることなく、
日本人全員の問題として受け止め、共に解決への道を模索していこうという姿勢ではないでしょうか。

米軍基地の撤退に成功した国

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現在、米軍基地は世界中で725ヶ所にあります。アメリカはかつてのように直接的な植民地支配から基地を置くという実質的な支配に方針を変えているという見方もあります。

そのような状況下で、かつて米軍基地に占領されながらも、基地の完全撤退を成功させた国としてフィリピンの事例があります。

経済的にも軍事的にも、日本以上に米軍基地に依存していたものの、民衆運動の盛り上がりと後押しを受けて基地を認めないように憲法を改正し、翌1992年には撤退を実現。
これにより、アメリカによるフィリピン政府への介入は劇的に少なくなり、基地があることによる犯罪や騒音問題はなくなりました。

他にも、ジャマイカやモロッコ、ギアナ、リビア、エチオピア、イラン、パナマなどの国が米軍の撤退に成功しており、沖縄からの米軍基地の撤退も十分現実的だと言えます。

沖縄を平和の島に

みなさんが沖縄を訪問される際には、その豊かな自然や人々のおおらかな気質に触れるとともに、各地に点在する米軍基地にも足を運んでみてはいかがでしょうか。

沖縄の基地問題を解決する方法を多くの人々が模索していますが、それらの問題を自分のことと考える人が増えることが、根本的な解決につながる一つの答えではないでしょうか。

沖縄の空気は、訪れた人々に心の安らぎを与えてくれます。
米軍基地の撤退を実現し、太平洋戦争の苦い経験を活かすことによって、真に平和な島になることを願っています。

書籍紹介

書籍情報社「本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること―沖縄・米軍基地観光ガイド 」写真=須田慎太郎、文=矢部宏治、監修=前泊博盛

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