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生物多様性条約へ意思表示しよう!  2009年11月号

2009年10月31日


2010年10月名古屋国際会議場で開催されるCOP10(生物多様性条約締約国会議)では、2010年以降の世界の生物多様性を守るための目標が決定されます。10月末(予定)から、日本からの提案についてのパブリックコメント(意見募集)が行われます。来年の国際会議、生物多様性条約に直接意思表示できるチャンスです。


●生物多様性条約とは?

「現在、地球上の生物種の絶滅が加速。すでに絶滅危惧種が全生物の24%に達し、このままでは数十年後には生物が絶滅するかもしれない」と言われ、それを防ごうとするのが、「生物多様性条約」です。この条約は、1992年リオデジャネイロの地球サミットで決められました。同じ地球サミットで、「地球温暖化防止条約」も決められており、この二つの条約は双子のような関係になっています。リオサミットから10年後に開催されたCOP6では、
「現在の生物多様性が減少している速度を2010年までに顕著に減らす」という「2010年目標」が設定されました。しかし、最近発表された生物種の減少のデータでは、

・人類が原因で、自然の種の絶滅速度が1000倍に
・哺乳類の22%、両生類の33%、鳥類の12%、針葉樹の28%が絶滅危惧種に

などとなっているため、この「2010年目標」は失敗したと報告されています。


●EUでは、さらに野心的な目標

COP6に先立って、EU委員会は「2010年までにEU域内における生物多様性の損失に歯止めをかける」という独自の2010年目標を設定し、COP6にEU案として提案をしていました。今年4月28日、欧州委員会は、「さまざまな対策を行ってきたがこの『2010年目標』を達成する見込みがなくなった」と発表しました。同時に、「生物多様性の損失は、気候変動に対する懸念と同様、あらゆる面で脅威となるため早急な対策が必要」と報告しています。


 ●地球温暖化と違う点

・地域ごとにトータルでプラスになる対応
地球温暖化と違って、生物多様性の保全には地域ごとに特徴があり画一的な対応をとることができません。できるだけ多くの好事例(グッドプラクティス)を集めて、次の場所での活動の参考になるようにしていくことが大切です。そのため、地元の市民、企業などの民間参画が不可欠です。

・科学的な裏づけはこれから
昨年、中間報告が発表された「生態系と生物多様性の経済学※」の最終報告が、来年発表されます。(※詳細は、『地球村通信』8月号に掲載)また、地球温暖化のIPCC(気候変動政府間パネル)では、科学者のグループによる報告書が4回発行されていますが、生物多様性のIPBES(生物多様性政府間パネル)も来年、始めての報告書を発表する予定です。


●COP10へ向けての「日本提案」

2010年に開催されるCOP10では、「2010年目標」より後の目標を決めることがひとつのポイントになっています。このCOP10に向けて、「2010年以降の目標」をホスト国の日本政府が提案を準備しています。
日本提案(環境省・10月16日現在)は次のとおりです。
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1. 中長期目標(2050年)

人と自然の共生を世界中で広く実現させ、生物多様性の損失を止め、その状態を現状以上に豊かなものとするとともに、人類が享受する生態系サービスの恩恵を持続的に拡大させていく。

2. 短期の目標(2020年) 中長期目標を達成するために

[1] 生物多様性の状態を科学的知見に基づき地球規模で分析・把握する。生態系サービスの恩恵に対する理解を社会に浸透させる。

[2] 生物多様性の保全に向けた活動の拡大を図る。将来世代にわたる持続可能な利用の具体策を広く普及させる。人間活動の生物多様性への悪影響を減少させる手法を構築する。

[3] 生物多様性の主流化を図り、多様な主体が新たな活動を実践する。

3. 個別目標

A:生物種を保全する活動を拡充し、生態系が保全される面積を拡大する

B:生物資源を用いる農林水産業などの活動において、持続可能な方法による生産の比率を高める

C:・・・・・・(以下略)
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日本提案を分かりやすく要約すると・・・
1.人と自然の調和を世界中で取り戻し、2050年までに生物種の絶滅を止め、私たちが自然から受ける恩恵を将来へ続くようにする。
2.そのために2020年までに生物多様性が失われつつある現状を科学的に把握し、多くの人に知ってもらう。人間活動が生物多様性へ悪影響を起こすような開発は止め、生物多様性を守るような活動を積極的に推進する。


●こんな意思表示をしよう!

環境省は、COP10での「日本提案」について、パブリックコメント(意見募集)を行います。直接意思表示をしよう!
⇒生物多様性条約ポスト2010年目標日本提案に対する意見募集について
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11723 (11.27締切)

1. まず上記の「日本提案」を、分かりやすい文書に直して欲しい!と提案しよう

2. 地元の事例を盛りこむような提案をしよう
地元の好事例(グッドプラクティス)が世界を変える可能性があります。

3. 遺伝子組み換えなどには世界的な枠組みで規制をかけるように提案しよう
同時開催のMOP5では、特に遺伝子組み換えなどの問題について話し合われます。国際的な厳しい規制、国内での厳しい規制が生物多様性を守るためには必要です。



【 他にも、私たちにできること 】

・「形や大きさがばらばらな野菜は・・・」と敬遠せずに買うようにしよう

・植木や庭にいる虫(毛虫やムカデ)も生物多様性の一部です。
むやみに殺さないようにしよう

・地元の自然観察会、森林保護の活動などに積極的に参加しよう