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破壊される生物多様性  2010年9月号

2010年09月01日


生物多様性条約締約国会議(COP10)が10月に名古屋で開催されます。この会議では、破壊されている生物多様性を食い止めるために先進国、途上国のそれぞれが役割を果たしていくことなどをテーマに話し合われます。COP10が来月と迫った今、生物多様性や生物多様性条約などを改めて見てみましょう。
 


●種の絶滅は人類の絶滅

・1600年代の大航海時代以降、モア、ドードー、ブルーバック、クアッガ、リョコウバト、ニホンオオカミ・・・など多くの生物種が絶滅しました。
 この絶滅は、開拓団や入植者によって面白半分に乱獲や射撃の的にされたり、持ち込んだ外来種(犬、猫など)によって殺された絶滅の一部に過ぎません。

・46億年の地球の歴史には、気候変動、天変地異などで生物の大部分が絶滅する「大絶滅」が5回ありました(オルドビス期、デボン期、二畳期、三畳期、白亜期)。
⇒ 二畳期(2億5千万年前)には90%が消滅
  白亜期(6500万年前)には恐竜など75%が消滅

・しかし現在の絶滅は「大絶滅」よりも急激で大規模。
⇒ 生態系の破壊により、根こそぎ種の絶滅
  毎年5~15万種(毎日100~300種)が絶滅
  過去の絶滅の数万倍の速度で絶滅


全生物種の25%が絶滅の危機
 IUCNほか
 
 哺乳類  1/4
 
鳥 類  1/9
 
爬虫類  1/5
 
両生類  1/4
 
魚 類  1/3
 
植 物  1/8

・国連などの報告書では、すでに全生物種の25%が絶滅の危機にあり、危機的な状況にあると警告されています。

⇒「生物多様性を保つことは既に手遅れ」 (99年国連UNEP報告)

⇒「現在は大量絶滅時代に突入」 (03年米ワールドウオッチ研究所)

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●絶滅の原因

・乱開発で山の切り崩し、湖沼や河川の埋立、河川や海岸の護岸工事(コンクリート化)などによる生態系全体の破壊。ゴルフ場、リゾート、コンビナートなどの開発、農薬などによる環境汚染。

・里山が放棄されたり、人の手が入らなくなったことによる生態系の崩壊。

・不用意に持ち込まれる外来種(ペットの密輸、侵入など)が急増し在来種が絶滅。
・地球温暖化など海水温の上昇によるサンゴ礁、海洋生態系の破壊、砂漠化の促進。
⇒環境破壊や開発の加速を考慮すると、今後の種の絶滅は予測不可能


●種の絶滅は人類の絶滅

・生物は、互いに支え合って生きています。共生など見えているところだけではなく、見えないところの方がはるかに大きいのです。たとえば、森林破壊やダム建設で川から海に流れ込む有機物などが減少すると、海のプランクトンが減少し、漁ができなくるなどの連鎖がおこります。

・私たちの生活は、衣食住すべてにおいて自然の恵みなしに成り立ちません。
「我われは、毎年380兆円の自然の恵みを破壊し失っている」(UNEPのTEEB報告書)

・種の絶滅はドミノ倒しのように人類を含めた生物の全滅につながる可能性があります。

・すでに生態系が弱まり、生物の免疫機能や生殖機能の低下が始まっています。

   我々は知っている
    すべての生命は、一つの生命の織物であり、
    これを編んだのは我々ではなく、我々は一本の織糸に過ぎないことを
    生命の織り物に対して行なったことは自分自身に降りかかってくることを
               (1854年 シアトル酋長がアメリカ大統領に宛てた手紙)


●私たちにできること

・毛皮のコート、野生生物の皮やハクセイなどを買わない、使わないようにしましょう

・野生生物 (ペットや熱帯魚も)を飼わないようにしましょう

・環境破壊をするリゾート (ゴルフ、スキー、テーマパークなど)の利用をやめましょう

・無農薬のものを買いましょう

・輸入品の利用を減らしましょう (輸入は相手国の環境破壊につながる場合が多い)

・空気、水、土を汚さないよう心がけましょう

・大量消費、大量廃棄をやめましょう


~COP10で話し合われる「生物多様性条約」とは~

・生物の多様性を保護することは、単に「生物種の多様性」を保護するということではありません。その生物が生息している 「生態系の多様性」や、その生物の中の「遺伝子の多様性」を保護することが必要です。

・生物多様性条約は、「生態系の多様性」、「生物種の多様性」、「遺伝子の多様性」を保護するために、単に生態系の保護、環境保全ではなく、先住民の伝統的な知恵や文化の尊重、バイオテクノロジーによる遺伝情報の管理、将来世代との利益共有まで含めた幅広い条約になっています。