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生物多様性条約締約国会議COP10とは何だったのか  2010年12月号

2010年11月08日


10月11日から29日まで名古屋で生物多様性条約締約国会議(COP10/MOP5)が開催されました。ここで、名古屋議定書などが可決されました。ネットワーク『地球村』も日本のNGO 連合であるCBD市民ネットの一員として参加してきました。
COP10のポイントをお伝えします。
(事務局 渡辺裕文)

【会議場の発言から】

アリ・ボンゴ・オンディンバ ガボン大統領
(生物多様性アフリカ会議議長)

「アフリカの兄弟を代表して声を届ける。このままでは、世界の生物多様性がすべて失われてしまう脅威がある。アフリカでは、今や最後の警告が出ている状況である。人間活動のため、地球は死にかけている。もう手をこまねいてみているような状況ではない」

アリ・ムハンマド・ムジャワル イエメン首相
(G77+CHINA代表)

「生物多様性を保全することは子どもたちや貧しい人達の生活や未来を守るということ。生物多様性の損失は未曾有の拡大をしてきている。後戻りができなくなる前に、生物多様性を回復しなければいけない。」

子どもCOP10参加者からCOP10参加の各国代表へのメッセージ
「世界のトップの方々にお願いがあります。多様な生き物がずっと生き続け、生き物にあふれる美しい緑や碧い海がいつまでも続くようにしてください。あなたがたの今の決断にかかっているのです。地球の生物を守るための行動を直ちに実行してください」


各国代表からたくさんの感動的なステートメントがありました。
「事務局の社窓から」に掲載しております。ぜひご覧ください。




【COP10で何が決まったのか?】

〔ABS議定書(名古屋議定書)〕微生物や動植物を利用した抗生物質や抗ガン剤など、(特に途上国の)貴重な生物資源の利用やそれにより得られる利益の配分についての国際的ルールを取り決めた。これまでは、途上国の生物資源を先進国が収奪し、利益は途上国には少なかったり、生物多様性条約で作られた任意の国際ルール(ボンガイドライン)に従ったり、途上国ごとに国内法で強い規制を行うなど、対応は各国バラバラであったが、入手に同意が必要、利益を公平に分配など大枠での合意が得られた。しかし、大枠は先進国よりで、個別の協議に先送りであったり、不透明な点も残されている。

〔遺伝子組み換え補足議定書(名古屋・クアラルンプール補足議定書)〕輸入した遺伝子組み換え生物がその生態系に被害を与えた場合、輸入国は原状回復や賠償を求めることができる。遺伝子組換え生物が生態系に影響を与えないようにする輸送規定などを定めた「カルタヘナ議定書」の補足ルール。

〔2010年以降の生態系保全目標(愛知ターゲット)〕「2010年までに生物多様性の損失速度を著しく減少させる」という2010年目標の達成失敗を受けて、「自然生息地の損失速度を少なくとも半減」、「少なくとも陸域の17%と海域の10%を保全」「劣化した生態系を15%以上回復」など20の目標が設定された。しかし、京都議定書のように各国に義務付けられた数値目標ではない。

〔国連生物多様性の10年〕生態系保全目標を達成する以前に、日本で「生物多様性」についての認知度が低いことを受け、生物多様性に関心をもち行動する人が増えるように、来年以降の10年間を国連生物多様性の10年とすることを国連総会に提案する事が決まった。

〔その他〕科学的検知に基づき提言する、気候変動と政策のインターフェイスIPCCの生物多様性バージョン、生物科学と政策のインターフェイスIPBESの設置提案や各国で生物多様性についての教育や普及啓発(CEPA)の行動計画作成など、最終日だけで名古屋議定書などを含めた49項目の決議が行われた。

 

【会議の結果を受けて・・・】
先進国と途上国の立場の違いから問題となった「名古屋議定書」で、途上国が求めていた「過去の生物資源による利益の分配」が含まれないことになったため、先進国の製薬会社、バイオ関係企業などは、負担増にならないことを歓迎している。
途上国の多くは、生物多様性の宝庫であるが、一方で開発や気候変動等の悪影響を受け易い状況にあり、先進国からの支援なしには生物多様性保護が十分にできない状況にある。日本は会議中に約1600億円の途上国支援を提示したが、これは企業が負担すべきものを国民の税金で負担することを約束したことになり、企業を優遇するこれまでの政治そのものです。

【子どもCOP10より】
COP10に合わせて、世界の32カ国の子どもたちが集まり、「国際子ども環境会議」が名古屋市内で開催されました。「僕らの将来を救いたい。大人は解決できていない。大人になってから行動するのでは遅い(ドイツ)」「子どもが大人に手本を見せるいい機会になった(モロッコ)」

【会議場の外では・・・】

〔山口県で〕山口県で中国電力が建設しようとしている上関原発の予定地は、8割以上が護岸工事をされてしまった瀬戸内海で残されている数少ない自然海岸です。国の天然記念物カンムリウミスズメやスナメリ、ナメクジウオなど貴重な生物が生息し、瀬戸内海の最後の生物多様性の宝庫と言われています。この場所がCOP10の期間中に埋め立て工事が始まる直前までの状況になり、会議場周辺でのアピールが連日行われました。COP10の本会議でこのことが参加者全員に知らされ、一時的に工事予定は中断しましたが、いつ工事が再開してもおかしくない状況が続いています。

〔名古屋市でも〕名古屋市の平針地区の一角に昔からの里山が残されており、地元ではトトロの森と呼ばれていました。会議中に宅地開発のための伐採工事が始まり、その里山の風景は失われてしまっています。


詳細は「事務局の社窓から」にて掲載しております。


COP10の期間中も、今も、生物多様性ホットスポットでの開発は続いています。今以上の電力、住宅、そして物質的な豊かさが必要なのでしょうか?

会議場での熱心な議論も関心をもつ人が少なければ、それ以降の動きや政策につながりません。環境に関心を持ち、毎日の当たり前の生活を見直し、共に行動をしていくグリーンコンシューマが増えることが必要です。
 

 

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