ホーム>環境情報>環境レポート

憲法9条と96条

2013年06月01日


日本国憲法の条文を変える改憲の話が出てきていますが、そもそも憲法9条は何を意味しているのでしょうか? また、憲法96条は何のためにあるのでしょうか? 今回は、世界の憲法と比較してみました。 (事務局 渡辺裕文)

【平和憲法 (憲法前文と9条)】
日本国憲法の憲法前文に憲法の理念としての「平和主義」が、憲法9条に内容が書かれていることから、
日本国憲法は平和憲法とも呼ばれています。
 
●憲法前文(抜粋)には、次の言葉で日本のみの平和ではなく、全世界の平和を願う「平和主義」が書かれています。
・・・日本国民は、恒久の平和を念願し、・・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 
●憲法9条には、「戦争の放棄」、「戦力の不保持」、「交戦権の否認」が書かれています。
1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
日本同様、コスタリカ共和国とパナマ共和国は憲法で軍隊の廃止を決めています。
 
●コスタリカ共和国憲法12条
恒久制度としての軍隊は廃止する。公共秩序の監視と維持のために必要な警察力は保持する。大陸間協定により又は国防のためにのみ、軍隊を組織することができる。
 
●パナマ共和国憲法 第310条
パナマ共和国は軍隊を保有しない。すべてのパナマ人は、国家の独立と領土の防衛のために武器を持つ義務がある。
 
コスタリカもパナマも、有事に軍隊を組織するなど、交戦権を憲法上認めています。
日本国憲法は、交戦権も認めていない真の意味での平和憲法なのです。
(※「警察」は相手を生きて捕まえ罪を償わせることが目的で、相手を殲滅しても構わないという「軍隊」とは思想が大きく異なります。)
 
 
【憲法改正 (憲法96条)】
政府は憲法改正のハードルを下げるために「憲法改正」について書かれた憲法96条を、「議員の3分の2以上」⇒「議員の2分の1以上」に変更しようとしています。世界の主な国の憲法改正の条件を比較してみましょう。(衆議院憲法審査会資料より)
 

 

憲法改正の条件

改憲回数

日本

各議院の総議員の3分の2以上で発議、

国民投票の過半数で承認

アメリカ

上下両院の3分の2以上で発議、

全州の4分の3以上の州議会の賛成で承認

ドイツ

連邦議会の3分の2以上、連邦参議院の3分の2以上

(連邦参議院は州政府の首相や閣僚など州の代表者で構成)

59

フランス

国民議会と元老院の過半数で発議、両院合同会議で5分の3以上の賛成か、または国民投票(有効投票の過半数)

27

イタリア

上下両院で3ヵ月以上の間隔を置いた2回の可決(1回目は過半数以上、2回目は3分の2以上)、要請があれば国民投票

16

カナダ

上下両院の過半数の賛成、3分の2以上の州議会の承認

19

デンマーク

国会の過半数の賛成で総選挙を行い、再度国会の過半数の賛成をへて国民投票(投票の過半数、有権者の4割以上)

韓国

国会の3分の2の賛成後、国民投票(有権者の過半数が投票し、投票者の過半数の賛成)

 
日本の憲法の改正基準が世界的に厳しいわけではありません。他国は十分に議論を尽くした後に憲法改正を行なっているのです。
 
〔国民投票法にも問題があります〕
憲法改正のための国民投票法は、前の自民党政権、安倍内閣の時に成立しました。
有効投票数の過半数で憲法改正が成立し、最低投票率の規定はありません。
例えば、有権者の40%が投票し、過半数の賛成でも成立します。つまり、有権者全体の20%の
賛成でも改正ができてしまうのです。世界的にかなり緩い法律です。
 
●そもそも憲法はなんのためにあるのでしょうか?
 
憲法は、国会(立法府)が立案した法律が間違っていないか、行政が行なっている政治が間違っていないかを常に振り替えるべき原点です。行政や立法が勝手なことをしないように制限をつけている憲法を、政府や国会の勝手な都合で緩めたり変更したりすることは、本末転倒です。もう一度、何のために日本国憲法が作られたのか、憲法前文を読み返しましょう。
・・・政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、・・・この憲法を確定する。(日本国憲法前文より)