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「福島第一原発」凍土壁失敗!

2016年09月30日


福島原発事故から5年半、今も「汚染水問題」が廃炉への道筋を阻んでいる。
汚染水対策の切り札として採用された凍土遮水壁も、案の定、失敗が報じられた。
その真相は...。

(人見やよい)

★汚染水問題は原発の建設当初から始まっていた

福島第一原発が立地する場所は、元は海抜35mの切り立った台地だったが、東電は便宜面とコスト面から海抜10mまで土を削り取って原発を建設することにした。その工事中、地下水が湧き出したため、サブドレン(汲み上げ井戸)から海洋に放出するシステムを作った。このシステムが2011年3月に地震と津波で故障したため、大量の地下水が原子炉建屋に流入し、汚染源に触れ「汚染水」となって海洋に流出することとなった。つまり東電の当初の判断ミスが原因なのだ。


★2011年6月には「スラリー壁」が検討された

2011年6月、東電は地下水流入を防ぐため、1~4号機を囲む地下遮水壁を作る計画案を提出した。当初「スラリーウォール(粘土壁)」工法が提案されたが、1000億円レベルの工事になることがわかったため、東電自身がこの案を否定し、実現には至らなかった。これも東電の大きな判断ミスだ。

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★前例のない「凍土遮水壁」が採用される

2013年9月、ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で安倍首相は、「汚染水はアンダーコントロールされている(完全に制御できている)」とスピーチし、東京への五輪招致に成功した。
その時、汚染水対策の切り札として、国が前面に立って進めるとしたのが「凍土遮水壁」だ。
「凍土遮水壁」とは、原子炉建屋周辺の約1.5kmに1m置きに配管し、深さ約30mの凍結管を打ち込み、マイナス30℃の冷媒を循環させる。その凍結管によってアイスキャンディを作るように徐々に土を凍らせ、氷の壁を構築する工法だ。これほど大規模な凍土壁は実績がなく、成功すると考えている専門家はほとんどいなかったが、この前代未聞、言語道断の計画に、国は345億円を投じた。

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★予想通りの失敗

この計画には当初から多くの疑問、問題があった。まず、一日400トンという膨大な地下水の流れを凍らせられるはずがない。流れる水は凍らないことは誰もが知っている常識だ。凍結のために膨大な電力を必要とし、廃炉の30~40年間の電力費用や耐久性も疑問視されていた。
多くの疑問と反対の中で工事は強行され、今年3月から凍結を始めたが予想通り失敗。未凍結部分にセメント注入も行われたが、現時点で、汲み上げなければならない地下水の量はほとんど変わっていないことを東電も認め、原子力規制委員会の外部有識者は「計画は破たん」と指摘した。


★工法や対策の見直しが必要

はじめからセメントや鉄板など従来工法で囲う工事が行われていたら、ここまで事態が悪化することはなかっただろう。むしろ東電は、膨大な電力消費を目的として、このばかげた計画案を出したのではないかと思われる。正しい方法を実行していたなら、現状の汚染水タンク群(約1000基)も大幅に減らせたはずだ。
今、汚染水タンクは限界に達し、汚染水を海洋放出する計画もあり、安倍首相が世界に宣言した「アンダーコントロール」は完全に破たんしている。
今やるべきことは、世界の叡智を集めること。
チェルノブイリ事故で採用された「石棺」方式も、改めて検討すべきだと考える。
「海に流すのが手っ取り早くて安価」という最悪の結論にならないことを願う。

★工法や対策の見直しが必要

はじめからセメントや鉄板など従来工法で囲う工事が行われていたら、ここまで事態が悪化することはなかっただろう。むしろ東電は、膨大な電力消費を目的として、このばかげた計画案を出したのではないかと思われる。正しい方法を実行していたなら、現状の汚染水タンク群(約1000基)も大幅に減らせたはずだ。
今、汚染水タンクは限界に達し、汚染水を海洋放出する計画もあり、安倍首相が世界に宣言した「アンダーコントロール」は完全に破たんしている。
今やるべきことは、世界の叡智を集めること。
チェルノブイリ事故で採用された「石棺」方式も、改めて検討すべきだと考える。
「海に流すのが手っ取り早くて安価」という最悪の結論にならないことを願う。


2013.9.3福島原発告訴団は汚染水問題を福島県警に告発

東電が経済的な理由から汚染水対策を怠ったことは公害犯罪にあたるとして告発を行った。
しかし2016年3月29日に不起訴。7月7日に検察審査会でも不起訴相当。残念ながら事件にはならなかったが、東電の責任は重い。

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