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死刑制度について

2016年11月30日


民主主義国のほとんどで死刑は廃止されているが、日本は数少ない死刑容認の国だ。
日本の世論調査では「被害者、遺族の心情を考えると死刑は廃止できない」という意見が多いが、そこも含めて再考が必要な時期に来ている。
今回は、死刑制度について考えてみましょう。

(落合真弓)


●国際社会は死刑廃止の流れ

1948年
 国連総会が世界人権宣言「すべて人は生命に対する権利を有する」を採択
1989年
 国際人権規約(死刑廃止条約)
 →2014年10月現在81か国締約。日本は未締約
1997年以降毎年
 国連人権委員会(現・国連人権理事会)「死刑廃止に関する決議」
 →日本は国連から「死刑廃止勧告」を受け続けている

★現在で世界の3分の2以上の国(140か国)が死刑を廃止または停止している。
★OECD加盟国のうち、死刑制度があるのは日本、韓国、米国だけ。
 しかし韓国は、死刑の執行を16年以上停止している。
 米国も50州中18州が廃止し、死刑執行したのは9州だけ。
★EU諸国では、犯罪被害者・遺族を手厚く支援し、かつ死刑を廃止している。
★日本は国連から、「死刑執行の停止」を求められている。


●死刑廃止の考え方

★「目には目を」「死には死を」が正しいのだろうか。
★人は間違いを起こす。冤罪による死刑は取り返しがつかない。
★死刑が、本当に被害者や遺族に安心を与えるのだろうか。
★殺人犯には社会復帰が許されないのだろうか。
★日本は国連に加盟し「世界人権宣言」を受け入れ、「自由権規約」を締結している。
 =生命に対する権利を尊重し、死刑の廃止が望ましいという「価値観」に立っている。
★死刑は、前時代的な残虐な刑罰である。
★寛容な社会をめざす時ではないだろうか。


●死刑の非人道性

現状の日本では、死刑確定者は、
★家族と弁護士以外とは面会も手紙も許されていない。
★昼も夜も誰とも接触できない。
★死刑の執行は当日の朝、突然告げられる。
★日本における死刑執行は「地下絞架式」でロープの長さや体重によっては、落下してから絶命するまで苦しみ続ける事もある。

参考:日本弁護士連合会「死刑廃止について議論をはじめましょう


●冤罪事件

★無実の人を死刑執行してしまったら、取り返しがつかない。
★無実を訴えながら死刑が執行され、現在、再審請求中のケースがある。 (1996年 袴田事件など)
★精神に障がいがあり「心神喪失」の疑いのある人が執行されたこともある。 (1975年 近畿連続強盗事件など)
★操作側の証拠捏造の疑いやDNA改ざんの可能性が指摘されている事件もある。 (2012年 鹿児島強姦事件など)

<無期懲役・死刑判決を受けて再審で無罪とされた事件>

死刑事件逮 捕再審無罪期 間
免田事件1949年1983年34年間
財田川事件1950年1984年34年間
島田事件1954年1989年35年間
松山事件1955年1984年29年間

無期懲役事件逮 捕再審無罪期 間
足利事件1991年2010年19年間
布川事件1967年2011年44年間
東電OL殺人事件1997年2012年15年間


●死刑の犯罪抑止力は証明されていない

★米国のデータ(DPIC)によると死刑がある州の方が、殺人事件率が高い。
★日本でも死刑になりたいという動機で「無差別殺人」を起こしたとされる事件も多くある。 (2008年 土浦連続殺傷事件など)


●死刑に代わる最高刑の検討

★仮釈放のない終身刑についても議論の必要あり。
 フランス「無期刑」 ... 仮釈放を許さない「保安期間」は最長で30年。
 ドイツ「終身刑」  ... 15年の服役により残刑の執行停止(仮釈放)があり得る。
 オランダ「終身刑」 ... 終身刑には仮釈放がなく、仮釈放のためには恩赦が必要。


●日本政府はこれからどうすればいいか

★死刑制度の廃止について国民的議論を開始する。
 *有識者会議を設置し、公の議論をする。
 *政府は国民に死刑制度の運用について情報公開をする。
 *『終身刑』の検討を含む刑罰の見直しをする。
★その議論の間は、死刑の執行を停止する。
★犯罪被害者・遺族を支援する。


●私たちにできること

★すべての人々が尊厳をもって共生できる社会を実現する。
★被害者の手厚い支援と死刑のない社会へ取り組む。

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