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パリ協定とその後

2017年08月31日


パリ協定が締結されて約 1年半、世界はどのようにパリ協定の約束を守ろうとしているのか、その後の動きを追ってみた。

(落合真弓)

●パリ協定(2015年 12月採択)の概要

  • 全ての国による長期目標の実現に向けた温暖化対策協定
  • 世界の長期目標
    ・気温 :産業革命前からの平均気温上昇を 2℃未満に抑える。
         さらに、1.5℃以下にとどめる努力目標を掲げた
    ・排出量:できるだけ早く減少させる
         今世紀後半には、人間の活動による温室効果ガス排出を正味ゼロにする
  • 資金・・・・先進国が拠出するが、新興国等にも拠出を奨励
      将来、発展途上国において、温暖化対策に必要な資金は、1122憶ドル
      ※2016年の世界の軍事費総額(1兆 6866億ドル)の 10分の 1で足りる


●主要国の約束草案(INDCs)

国 / 地域名 温室効果ガス
排出量の削減率
目標年基準年・基準
 日本  - 26%( - 18%) 2030年  2013年(1990年)
 EU  - 40% 2030年  1990年
 米国  - 26 ~ - 28%  2030年  2005年
 ロシア  - 25 ~ - 30%  2030年  1990年
 カナダ  - 30% 2030年  2005年
 中国  - 60 ~ - 65% 2030年前後  2005年・GDP当たりCO2排出量 
 ブラジル  - 37%( - 43%) 2025年(2030年)  2005年


●約束草案は提出されたが・・・

  • 世界の排出量の約 95%を占める 188ヵ国が提出(2015年 12月)
  • 全ての国が約束を達成したとしても、「2℃未満」の目標達成はできない
  • 日本の目標に対して、ドイツの研究機関連合体の評価は「不十分」
  • 先進国は 2050年までに(現状に比べ)80%削減を約束しているが大丈夫か?
  • CO2排出量世界第 2位の(15.8%)のアメリカのトランプ大統領はパリ協定からの離脱を表明。
    途上国への温暖化対策支援金約 3300億円の拠出も白紙に戻すと発言
  • 「重大な結果をもたらす致命的な過ち」と世界中が抗議の意思を示した


●温暖化の影響:平均気温が 2℃上昇すると

  • 氷床融解・海面上昇のリスクがさらに高くなる
  • 生物多様性の損失(珊瑚礁の白化、寒帯の生態系の崩壊など)
  • 農作物の収穫、水資源量の減少
  • 世界的な異常気象(洪水、干ばつ、大火災など)、生活に大打撃


●世界は国も企業も革新的な大転換を始めている

  • 2014年、世界のエネルギーの 23%が再生可能エネルギーに
  • 2016年、風力と太陽光発電で 8億KWに(原発の約 2倍)
  • エネルギー企業も「脱石炭」、再エネ、天然ガスにシフト
  • 「何もしないことは、事業継続のリスク」と捉え
    ・目標(2℃未満)に合致する自社目標を宣言する企業が 100社以上
    ・電力の 100%再エネ化を宣言している企業が 50社以上
  • トランプ米大統領はパリ協定からの離脱を表明したが、米企業や知事も反発
    ニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントン州は連合を結成し、パリ協定を支持、独自に地球温暖化対策に取り組むと発表
  • スウェーデン年金基金などは投資先の組み合わせを脱炭素化企業に
  • などなど


●日本は政府も企業も動きが鈍い

安倍政権下で決定された目標値の背景となる 2030年の電源構成は、
原子力 20 ~ 22%、再生可能エネルギー 22 ~ 24%、石炭 26%、天然ガス 27%、石油 3%

★問題点

  • 省エネ、再エネの見込みが小さすぎること
  • 原子力発電 20 ~ 22%は非現実的な想定 ⇒ 国民は脱原発を望んでいる!
  • 石炭火力を現状より増やして 26%とすることはCO2排出量を考慮すると過大


●あるべき国家ビジョンと戦略

再生可能エネルギーへの大転換

  • 100%エネルギー永続可能地帯:71市町村、100%電力永続地帯:111市町村
  • 必要なエネルギーと食糧を地域で自給できる永続地帯:39市町村
                    (『永続地帯 2016年度版報告書』より)

こうした取り組みを強力に推進する。補助する。奨励する。


●私たちにできること

★省エネ、スローライフに向けて大きく見直し
★農的生活、エネルギー自給生活

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