地球村通信2008年4月号 巻頭言

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【巻頭言】 自動車と二酸化炭素  (2008年4月)

今年は「環境元年」。京都議定書のスタートの年ですから、時々その話題も書きます。
日本の現状を知っておいてください。
二酸化炭素の削減目標と現状は、次のとおりです。

       目標     現状    2012年までに
ドイツ    -25%    -18%     あと 7%
イギリス  -23%   -15%     あと 8%
アメリカ    -7%   +16%    あと23%
日本      -6%   + 7%     あと13%

※ 今年1月19日、国連世界銀行は各国の評価を公表しました。
 日本は、主要排出国70カ国中61位。先進国で最低の評価となりました。

★原油価格高騰
この原稿を書いている現在、1バレル(159リットル)110ドルをつけています。
1970年はなんと2ドル、1975年にはオイルショックで10ドル、
1990年には湾岸戦争で20ドル、2003年にはアメリカのイラク戦争で30ドル、
2005年には50ドル、昨年から加速しています。しかし、1リットル約70円。
これでもまだペットボトルの水よりも安い。ということは、以前の2ドル、
10ドルがいかに無茶であったかわかるでしょう。
そのことを人口大国(13億人以上)の中国やインドが指摘しているのです。

「先進国が長い間無茶をしてきた結果が現在の環境問題なのに、
これから発展しようとしている途上国に同じような規制を求めるのは筋違い」

途上国から見ればそのとおり。
かといって、「では、途上国は安くどうぞ。ご自由にどうぞ」とも言っていられません。
ともに問題解決に向けて努力、協力しないといけないのです。

★問われるアメリカ、日本
アメリカは、ブッシュ大統領が就任後、京都議定書から離脱。
日本は、京都議定書の主催国でありながら、CO2を増加させています。
しかも日本政府は、国民に対して削減努力を求めるよりも、「これ以上の削減は難しい」
と間違ったメッセージを出しています。
ドイツなどでは、風力発電が立ち並び、自然エネルギーの比率は大きく伸び、
ガソリンの値段が日本より100円も高く、マイカー利用を減らすための多くの政策、
施策、努力が行われています。

★道路特定財源の問題
いま話題の「道路特定財源」は、ガソリン税に上乗せされた特別税で、
自動車道路の建設に使われてきました。その期限が3月に切れます。
いままで利益を受けてきた業界や族議員が、継続を合唱していますが、
ここに来て、まだ自動車道路を建設しようというのは無意味(ナンセンス)です。
すでに小泉政権で、「道路財源は一般財源に」で決着していたのに、
今になって復活を持ち出すのは、利権に群がる業界や政治家の愚行です。
⇒道路特定財源(年間5~6兆円)は、環境税、炭素税として継続して、
二酸化炭素削減など環境保全に使うべきです。

★最大のCO2を排出する自動車
・自動車は、1台当たり年3トンのCO2を排出します。
・自動車は、日本では昨年2100万台生産され世界中に販売されました。
・これだけで毎年6300万トンのCO2が増加することになります。
・これは日本の排出量13億トンの4.8%に当たります。
・日本は、2012年までの5年間でCO2を12%減らさなければなりません。
・しかし日本の自動車生産は年4.8%、5年間で24%増加させることになります。
⇒自動車の生産、販売は、「企業の自由、企業にお任せ」でいいのでしょうか。
⇒自動車や電気製品は、国、業界として自主規制をすべきです。
⇒自主規制ができないなら、国際的な規制が必要でしょう。

★CO2排出権の取引
京都議定書には、いろんな問題があります。そのひとつが「排出権の売買」です。
これは、余分に削減した国から、排出権を買い取ることです。
日本は昨年末、景気後退で大幅削減したハンガリーから、
1000万トンの排出権を200億円で買収しました。その結果、どうなるでしょう。
ハンガリーは200億ドルを得て景気が上がり、二酸化炭素が増えるでしょう。
日本は、200億円払って、1000万トンを削減しなくて済みます。
つまり、双方、二酸化炭素を削減する、という本来の方向と逆行します。
この制度は、途上国の弱みに付け込んだ先進国のごまかしです。

⇒削減目標が達成できない国から罰金を取り、それを途上国の二酸化炭素削減に
使うほうが、双方に大きな効果があります。

【巻頭言】 『GNPからGNHへ』  (2008年4月)

30年以上前、ブータンの若き国王が、大切なことに気づきました。

  『 社会をおかしくしているのはGNP(国民総生産)だ。
   大事なのは、「生産」ではなく「幸福」なのだ。
   私の国では、GNH(国民総幸福)を国家の理念にしよう 』

そして実際にGNHという新しい概念を提唱し、それを実行したのです。
農業を中心とした自給自足経済を基本として、経済拡大や外国資本の流入を避け、
自然環境保護を推進し、国民の幸せの実現を推進しました。
一人あたりのGDPは日本の25分の1ですが、自然は豊か、平和でスローライフの国。
人々は穏やか。「世界一幸せな国」と呼ばれています。

ブータンの若い国王(当時16歳)が30年以上前に気づいたこと。
これが、現在、先進国が直面しているさまざまな問題の本質であり、問題解決の道なのです。
それにも関わらず、先進国はいまだにGNPの拡大を求めています。
国はいまだにGNP拡大を求め、企業は売上拡大を求め、人々はお金を求めています。
先進国はすでにGNPを100倍も拡大し、その結果、環境破壊が進み、
破局が目前に迫っているのです。それなのに、いまだにマネーゲームをしているのです。
 
GNPを上げることは売上を増やすこと。売上を増やすことは消費を増やすこと。
経済拡大は、豊かな者はさらに豊かに、貧しい者はさらに貧しく。
貧富の差が拡大します。
その結果、国と国の関係は悪化、紛争、戦争が起こります。
このままでは破局が避けられません。
 
環境破壊、地球温暖化、資源の枯渇、飢餓貧困、紛争、戦争など、
現状の社会が抱えている問題はすべて、経済拡大(GNP)から生じているのです。
地球環境はイージス艦よりはるかに大きいのです。
ブレーキをかけても、舵を切っても、進路が変わるのは20年先です。
ブータンがやったことは、とても大きな意味があります。
GNPからGNHへ。まちがいなく、これが問題を解くカギです。

★徐々に自給自足を実現する
あと10年から20年で、日本は食料や資源の輸入は困難になります。
徐々に自給自足を実現していくしかないのです。
日本はGDP約500兆円、累積債務は約1000兆円。すでに財政破綻しているのです。
国家破産宣言をして、現状の贅沢を徐々に削減していく。
徐々に自動車や電気製品は使えなくなるから、製造できなくなる。
食料が輸入できなくなるから、工業から農業に転換するしかなくなる。
過去50年で数十倍に肥大したGNPが、徐々に下がり始める。
半分になってもまだまだ。4分の1になってもまだまだ。
10分の1になって、ようやく自給自足の可能性が出てきます。

★グリーンコスト、グリーンGNP
現在のGNPに代わってグリーンGNPを導入。
グリーンGNPとは、グリーンコストを基本とした経済指標です。
グリーンコスト=現在のコスト+資源保全コスト+環境保全コスト。
つまり、ものの値段に、自然の保全コスト、環境保全コストを上乗せする。
資源と環境の保全を義務付ける。現在のような無茶はできなくなる。
経済が環境とつながり、社会は環境と調和するようになる。
人々は(以前の貧しい時代のように)助け合い、支え合うようになります。

★GNPからGNHへ
産業革命から始まった物質文明の誤りを認め、環境調和へ方向転換するのです。
いま必要なことは、一人ひとりの自覚と自立です。
自分の頭で考え、自分の責任で行動することです。
集団催眠のような社会ですが、まず自分が目覚めることです。


「私たちは巨大な自動車がほしいわけではない。
クローゼットから溢れるほどの洋服がほしいわけでもない。
マネーゲームに勝ちたいわけでもない。
私たちは、いきいき生きること、わくわくすること、
自分が役立っているという実感、
みんなが助け合うコミュニティを求めているのだ。
しかし、私たちは間違った方向に進んでしまった。
いまこそ、その誤りに気づき、方向転換をするときだ。
いまこそ、最後のチャンスなのだ」

『成長の限界』 『限界を超えて』 を著したメドウズ博士の言葉です。

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