地球村通信2008年8月号 巻頭言

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【巻頭言】 洞爺湖サミット  (2008年8月)

★洞爺湖サミット(G8先進国首脳会議)は残念な結果に終わりました。
・「2050年、二酸化炭素排出量を半減」は完全合意できず
・中期(2020年)の具体的目標、決まらず
・来年のイタリアサミット、来年末の国連会議に持ち越されました。
 
★各国の主張、立場
・欧州「G8が積極的な目標数値を決めて世界をリードしなければならない」
・アメリカ「中国やインドなど新興国を含めなければ効果がない。
 G8だけが削減させることは、新興国との経済競争で不利になり、
 国内経済がダメージを受ける。G8だけで目標を決めるべきではない」
・中国、インド「温暖化はG8の責任だから、半減を共通目標とするなら、
 G8は半減以上(80~95%の削減)の努力をすべきである」

★現状認識
(1)世界の排出量は266億トン(2005年公表値)
・1人あたりの格差が大きい(先進国12トン、中進国3トン、後進国1トン)

(2)中進国、後進国では、年率10%くらいで増加している。
・100年後、最大6.4℃の温度上昇(現在はまだ0.7℃)
・異常気象により食糧危機(食糧自給率の低い日本はもっとも危険)
・海面上昇などで大量の環境難民が発生
・紛争、混乱、戦争、世界規模の破局は避けられない

★二酸化炭素は減らすしかないのです。
1.「2050年に温度上昇2℃に抑えるためには半減」を実現するには
  排出量を 266億トン÷2=133億トン に抑えることが必要

2.2050年の世界人口は約90億人だから(国連報告)
  もし平等な生活をするなら、
  133億トン÷90億人=1人1.5トン
【結論】
 これは、日本の「現状の十分の一」だから「90%削減」
 「先進国は90%削減、中進国は50%削減、後進国は現状で抑える」
 日本は、昭和30年代レベルに戻さないと破局は避けられません。

★技術の改善は30~50%が限度
新製品、新技術の開発には多くのエネルギーが必要。さらに原料の調達から輸送、
工場建設、製造エネルギー、販売、製品の消費エネルギー、廃棄時のリサイクルなど
全期間を通して膨大なエネルギーが消費されます。(ライフサイクルアセスメント:LCA)
「新製品は燃費が2倍。消費電力が半分」であっても、
LCAで評価すると、改善されたかどうか疑わしいのです。

★2050年 格差をどうするのか
現在は先進国、中進国、後進国の間に大きな経済格差があります。
この格差を、解消するかしないかで、未来は大きく変わります。
まず、先進国の生活レベルを下げるか下げないか。

1.先進国の生活を下げない
 先進国のエネルギー効率を上げて、排出量を半減する。(1人6トン)。
 他の国(中進国、後進国)も先進国と同じ排出レベルを想定すると、
 6トン×90億人=540億トン(現状266億トンの2倍)となり破局・・・
 もし、他の国の生活水準を先進国の半分で抑えるなら、
 6トン×10億人+3トン×80億人=300億トン(現状の1.2倍)となるため、
 「2050年に半減」は実現できない。
 以上でわかるように、「先進国の生活を下げない」という選択肢は不可能。
 
2.先進国の生活を半分に落とす。
 さらに排出量を半減する(3トン)。
 もし他の国も先進国と同じレベルを想定すると、
 3トン×90億人=270億トン(現状266億トンと同等)となり、温暖化防止はできない。
 もし、他の国の生活水準を先進国の半分に抑えるなら、
 3トン×10億人+1.5トン×80億人=150億トン(現状の60%)となるため、
 「2050年に半減」はほぼ達成できる。
 

【結論】より現実的なビジョン
1. 先進国は生活水準を半分に下げ、エネルギー効率を2倍に上げることで、
   排出量を1/4にする必要があります。(1人3トン)

2. 他の国は、先進国の半分に抑える必要があります。(1人1.5トン)

★低炭素社会とは
現在のように化石燃料を燃やして自動車、電気を大量に使う社会は不可能。
化石燃料以外の選択肢として、
1.自然エネルギー(風力、太陽熱、太陽光)、
2.水素エネルギー、
3.原子力発電となるわけだが、原子力は、あまりに危険性が高い

1、2 を上手に使いながら、世界が平等に実現できる生活水準は、
日本の昭和30年代くらいの生活です。

★私たちにできること
(家庭生活でできることとCO2の削減率)
・自動車をやめると30%削減
・風呂をやめると14%削減、半分にすると7%削減
・冷暖房をやめると10%削減、使用を半減すると5%削減
・電気をこまめに消すと4%削減、白熱電球を蛍光灯に替えると4%削減
・電源を主電源で切ると3%削減、コンセントを抜くと3%削減
・一家団らん(食事、テレビ、お風呂を家族いっしょに)すると15%削減
・三世代同居、一家団らんすると2世帯合算して30%削減
(ふだんの生活面でできること)
・自動車、エレベータ、エスカレーターの使用を減らす
・自動販売機、24時間コンビニの利用を減らす
・飽食、贅沢、肉食をやめる、減らす
・コーヒー、お酒、タバコをやめる、減らす

【巻頭言】 エコ・スフィア  (2008年8月)

『地球村』事務局の応接室に、直径十数センチのガラスの球体があります。
中には、三分の二くらい水が入っています。底には1センチくらい小石があり、
水中にはサンゴの破片と小さな水藻があります。
水中には、よく見ると、小さなエビが一匹泳いでいます。
6年前にも、ここで紹介しましたので、覚えている方もおられるかと思います。

名前は、エコ・スフィア。エコは環境、スフィアは球体という意味です。
6年前、スミソニアン博物館(ワシントン)で買ってきました。
NASAが開発したもので、地球の生態系を現す最もシンプルなモデルです。
球体は完全密閉なのに、エビが6年以上も生きているのです。

私が、これを始めて見たのは、40年近く前のことでした。
当時はミクロコスモス(小さな宇宙)という名前でした。
見たときは衝撃でした。密閉されたガラスの水の中にエビが生きているのですから。
エビが吸う酸素は水藻が作り、エビが出す二酸化炭素は水藻が吸うことで
大気循環が成り立っているのです。エビは水藻を食べて生きていて、
エビの出す糞を微生物が分解して、水藻はそれを栄養として生きているのです。
水は、微生物がいることで腐らずに保たれているのです。

つまり、大気の循環、食物連鎖、水の循環が成り立っているのです。
これらは、とても微妙なバランスによって保たれているのです。
たとえば、温度が少し高くなっても低くなってもエビは死んでしまいます。
すると、酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、
食物連鎖が崩れ、水藻も死んでしまいます。
すると微生物も死んでしまい、水も腐ってしまいます。
実際に見たことがありますが、水も濁り、汚くなってしまいます。

エビ、水藻、微生物、温度、大気、水・・・
バランスが壊れるとすべてが壊れてしまうのです。地球も同じなのです。
私たちはすでに、その危険な道を歩き始めたのです。

4匹いたエビは今、1匹ですから、世代交代をすることができません。
もう長くないと思いますが、事務局に来られたらぜひごらんください。

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